茶花について
茶室には床の間という掛物や花を飾る空間が存在します。
飾る花は「茶花」と申しまして外国の花はあまり使われることがなく、古来より日本に育つ花が主に使われます。
昔はごく当たり前のように身の回りにあった茶花も現在都心部ではなかなか目にする事ができません。地面は辺り一面コンクリートで覆われ、また昨今では夏の日差しで草花も育ちにくいといった理由がいくつか挙げられます。公園などで茶花が咲いていても公共の場の草花は持ち帰ってはいけませんし、自分で育てるか茶花を扱っている花屋へ行って購入するしか方法はなさそうです。
私も5年ほど前から少しずつではありますが茶花を育てております。残念ながら庭がありませんのでプランターなどで栽培しております。
それでも毎日のように水をあげ、花を咲かせてくれると何とも言えぬ喜びがあります。そしてその花を花入に生け、床の間に飾りますとまだまだ未熟な私が生けた花でもなんだか愛くるしさがあります。
花を生ける事はもちろん育てることも学びのひとつです。だからといって花にこだわりを持ち過ぎるのも良くないとのこと。丹精込めて育てた花でも茶席の中では主役になる事はありません。そこが難しいところでもあり、また面白いところだなあぁと感じています。
さて、この度は「木槿」の花をご紹介します。木槿とは古くから日本に生息し、夏から秋にかけて花を咲かせます。育ちが早く、みるみるうちに枝葉が伸びて花も沢山咲かせてくれます。
木槿にも種類が数多くあり、白い色の花、ピンクや紫の花のものもあります。我が家の木槿は白い色に花の底の部分が赤くなっている木槿で、千利休の孫、宗旦が好んだことから「宗旦木槿」と呼ばれています。今年は7月になってすぐに花を咲かせ始め、9月になった今でもまだ花を咲かせています。葉の所々が虫に食われてしまっていますが花を生けるのに問題はなさそうだったので処置することなくそのままにしています。
朝、咲いている木槿の花を切り籠の花入に生けて床の間に飾ります。
花のある茶室をふと見ると「お茶だなぁ」とつくづく感じられます。
我が家の周りには自然に咲いている茶花がないのでこれから少しずつ種類を増やして育てていきたいと思います。