茶道における「炭」について
炭は茶道をする上で決して欠かせない道具のひとつです。
最近では炭を作る職人さんも少なくなり、先輩方の話によると炭の値段も昔と比べるとかなり高騰しているようです。また、昨今は消防法などで炭の使用を禁止しているところも多くなり、致し方なく電気で湯を沸かす状況もあるようです。
私は有り難い事に茶道を引退される方々から「もう必要がないから」と炭をわけて頂く機会がありますので随分と助かっています。しかし炭を使用する頻度は日々の稽古や季節折々に行う茶事など年間でかなりの量を使用します。
また茶道では炭を使用する前に炭を洗います。炭から出た粉状のものに火が付くと火の粉として飛んで畳などを焦がしてしまいます。それを防ぐ為に炭をたわしなどを使って水洗いし、乾かした後使用します。乾かすと言いましても完全に乾かすのではなく少し湿気を含んだ状態で使用します(湿気を含んだ方が火が付きやすい)
茶道で使用する炭の寸法が決まっていますので、現在茶道用炭としてその寸法に切られた炭が販売されていますが、昔は長い炭が売られていてそれをお茶人が自らのこぎりで切っていたようです。
私も長い炭が手元に来るとのこぎりを使って決まった寸法に切りますが、なかなか真っ直ぐに切れなかったり、切っている最中に炭がこなごなになってしまったり簡単なようで非常に難しいものです。
二、三か月に一回は炭を切ったり洗ったりする時間を設けるのですが、夏は水仕事が楽に感じられますね。
こうして気持ちを込めて切ったり洗ったりした炭で湯を沸かしお茶を点てますが、沸かしたお湯も大切に感じられますし、大切なお湯でお茶を点てるとこれもまた美味しく感じられるものです。